饂飩(うどん)
皆さん、お坊さんになるには何が必要だと思いますか?
高い志。頭を剃る勇気。難しいお経の暗記。いろんなものが思い浮かんできますね。
でも今回はそういう話ではありません。
今回お伝えすることは、禅宗のお坊さんになるための資質についてのお話です。
足の痛い坐禅が組めること。これはまぁ大事です。
読経できること。これも大事です。
日常の所作やしきたりを覚えること。これも大事です。
でも私が今回お伝えしたいことは、こういった皆さんが想像できることではありません。
禅宗の僧侶、言い換えれば雲水(うんすい)です。
雲水に必要な資質は、「うどんが大好物なこと」です。
何を言ってるのかと思うでしょう。自分でもそう思います。
ですがこれはたぶん事実です。推量で押し切ります。
とある本にこうありました。
「雲水はうどんが実に大好物で、しかもかなりの量を平らげる」
雲水の食事は、基本的に物音を立ててはいけません。
箸を落としたら大問題です。咀嚼の音すら許されません。
ちなみに中国から帰国した道元さんは、日本の寺の食事を見てかなりきつい感想を書いてます。
食堂は静寂なのですが、うどんを食べる時だけは違います。
とにかく音を立ててすする食べ方が、雲水らしいうどんの食べ方です。
この話を読んだ時、そういうこともあるかと軽い気持ちでしたが、数年前に考えが変わりました。
とある展覧会でのことです。
国宝も所有している「臨済宗の大本山の美術展」でした。
ロビーにて、お寺の紹介と雲水の日常を紹介する映像が、10分程流れてました。
その映像の中で、静かで素早い厳かな食事風景の後で、”うどんを豪快に食べる様子”が紹介されていたのです。
そんな大事か?というより、そんな大事なんだと思いました。
頭の中では本で読んだ言葉がぐるぐるとしてましたね。
「雲水はうどんが大好物」
雲水=うどん大好き。うどんを嫌いな雲水はいません。
うどんが嫌いな人には、この職業は勧められませんね。
うどん県こと香川県は、空海さんの真言宗が多いと思いますが、禅宗にとっては極楽ですな。
ちなみにお前はどうなんだ?と聞かれば、私も大好きですよ。
一キロ位ならあっという間に食べちゃいますね。
宗務部 勇堂
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